三菱重工業は国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット」について、新型コロナウイルスの影響で需要の回復が見通せないため「いったん立ち止まる」という方針を表明し、当面は飛行試験を見合わせて開発費を大幅に縮小することになりました。
三菱重工業は10月30日、来年度から3年間の経営計画を公表し、子会社の三菱航空機が開発している「スペースジェット」について、新型コロナウイルスの影響で航空機の需要の回復が見通せないため、開発費をこれまでの10分の1程度に縮小し、1年当たりおよそ70億円、3年間で、200億円程度とします。
今後も、機体の安全性を担保する国の型式証明を取得するための作業は続けますが、当面は試験飛行を見合わせ、開発は「いったん立ち止まる」としています。
スペースジェットは2008年に事業が始まり、日本の航空機産業を育成するプロジェクトとして期待を集めてきましたが、部品の不具合などでこれまで納入の時期が6回、延期されてきました。
さらに三菱重工もみずからの業績が低迷していて、これ以上、開発資金を投じるのは難しいと判断したとみられます。
会見で三菱重工の泉澤清次社長は「立ち止まるという判断については大変申し訳ないと思っている。これまで培った技術を今後にどう生かしていくのか、事業展開をしっかりと考えていきたい」と述べました。
航空機の需要の低迷は、しばらく続くという厳しい見方がある中、国産初のジェット旅客機のプロジェクトは、一層厳しい事態に直面しています。
-- NHK NEWS WEB