人工知能の開発で日本の競争力を高めようと、理化学研究所は、大手電機メーカーの富士通、NEC、東芝とそれぞれ連携して、少ないデータからでも高度な予測や判断ができる新しいタイプの人工知能の開発に取り組むことを発表しました。
これは、理化学研究所が、10日、東京・日本橋の人工知能の開発拠点で、大手電機メーカーの富士通、NEC、東芝とともに記者会見を開いて明らかにしました。
それによりますと、理化学研究所は、3社とそれぞれ連携し、少ないデータからでも高度な予測や判断ができる新しいタイプの人工知能の開発に取り組むとしています。
現在、世界では、膨大に蓄積されたビッグデータをもとに、コンピューターみずから学習を深める「ディープラーニング」と呼ばれる手法での人工知能の開発が主流となっています。
これに対し、理化学研究所と3社は、ビッグデータに頼らない人工知能の開発を目指し、例えば、犯罪や事故、災害、それに新薬やロボットの開発など、過去の事例だけでは十分な将来予測が難しい分野で、日本の国際的な競争力を高めたいとしています。大手電機メーカー3社は、この研究に、合わせて50億円近くを出資するとともに、理化学研究所も、来月、専用のスーパーコンピューターを導入し、研究を本格化させることにしています。
理化学研究所・革新知能統合研究センターの杉山将センター長は、「人工知能の分野で、日本は、それぞれの企業が個別によい技術を持っているのに、これまで、それを束ねるところがなかった。今回の連携をきっかけに、日本が遅れているという状況を打ち破って、世界と肩を並べられるよう取り組んでいきたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB