「第一生命」の89歳の元社員が顧客からおよそ19億円を不正に集めていたとされる問題で会社が社内調査の概要を公表し、3年前に不審に思った外部から問い合わせを受けながらも結果として被害の拡大を防げなかったことが分かりました。
第一生命は山口県周南市の拠点に在籍していた89歳の女性の元社員が「30%の利息が付く『特別枠』で運用する」などと、架空の取り引きを顧客に持ちかけ金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで警察に告発しました。
被害にあった顧客は24人、被害額は合わせて19億5100万円に上るということです。
この問題で、第一生命は9日、社内調査の概要を公表しました。
それによりますと、会社は、3年前の2017年8月、元社員の説明を不審に思った外部から問い合わせがあったため元社員の業務の監視を始めました。
また聞き取り調査も行いましたが、元社員のほか、被害者とみられていた顧客が否定したことなどから結果として被害の拡大を防げなかったとしています。
元社員について報告を受けていた本社の営業管理部門も、不正の予兆をつかむことができなかったということです。
また、元社員は、保険の営業成績が優秀だったため、本来なら契約が更新されない85歳をすぎても「特別調査役」という肩書をただ1人与えられ、勤務し続けていました。
元社員については「一定の影響力を有する存在」であり、「適切な指導・管理ができなかった」としています。
第一生命は、再発防止に向けて、不正が疑われる営業担当者を本社が直接監督する新たな組織を年度内に設けるとともに、「特別調査役」の肩書は廃止したとしています。
-- NHK NEWS WEB