中国の中央銀行のトップは、中国の外貨準備高がこのところ大幅に減少していることについて、「それほど多くは必要ないので、不都合はない」と述べました。
中国の通貨、人民元の相場は去年以降、ドルに対し値下がり傾向が続いていて、アメリカのトランプ大統領は中国が輸出を増やすため、意図的に通貨安に誘導していると批判し、貿易不均衡を是正する考えを強調しています。
中国の中央銀行、中国人民銀行の周小川総裁は10日に行った記者会見で、「トランプ氏が大統領選挙で当選したあと、多くの人の予想と異なる変化が起きてドル高を招いた」と指摘しました。
そして、「ドルは世界で最も主要な通貨で、短期的にはドルの変動が人民元レートに影響を与える」と述べ、今の元安の局面は、アメリカ経済への期待から来るドル高の影響が強いという見方を示しました。
一方、中国では景気が減速する中、海外の資産を買い求めたい企業や、個人の間で外貨の需要が高まっていることが、元安の背景だとの見方も根強く、行き過ぎた元安を防ぐため、当局がドルを売って、元を買う市場介入を行ったことなどから、中国の外貨準備高は4兆ドル近くあった2014年のピーク時から、ことし1月には3兆ドルの大台を割り込みました。
これについて、周総裁は「3兆ドル前後の残高は圧倒的な世界一の水準だ。もともと、それほど多くは必要ないので、適度に減る分には何も不都合はない」と述べました。
-- NHK NEWS WEB