6年前の巨大地震で、仙台平野に押し寄せた津波の勢いを弱めたとされる、盛り土道路の効果を調べるための初めての詳細なシミュレーションが行われ、道路がない場合と比べて流速が半分になるなどの効果が確認されました。専門家は、「巨大な津波が想定される平野部では防潮堤などとともに対策に生かしてほしい」と話しています。
6年前の巨大地震による津波で、東北の仙台平野では最大で海岸から5キロ程度内陸まで浸水した一方、3キロ前後の内陸に土を盛ってかさ上げされた「盛り土」によって作られた仙台東部道路がある地域では、津波の勢いが弱められ、被害の軽減につながったと考えれています。
津波のメカニズムに詳しい東北大学の今村文彦教授の研究グループは、道路の管理会社の委託を受けて、その効果を調べるため、道路の下を通る「アンダーパス」と呼ばれる道路なども再現して、初めての詳しいシミュレーションを行いました。
その結果、津波はアンダーパスなどを通じて道路の内陸側に達しましたが、到達までの時間は10分から30分程度遅らせるという結果となりました。
また、道路の海側と内陸側で津波の速さを比べたところ、場所によっては秒速およそ4メートルからおよそ2メートルと、半分にまで弱まり、住宅などの被害の軽減につながることが確認できました。
一方、「アンダーパス」やトンネルなどがある場所には津波が集中し、周辺と比べて流れが速くなるほか、浸水も高くなることが確認されました。
今村教授は「南海トラフ沿いなど、平野部を抱えている地域では防潮堤などに加えて、こうした盛り土道路を活用するなど、複数の設備を活用する多重防御を行って、段階的に津波の威力を低減することが大切だ。課題点も明らかになったので今後の対策に役立ててほしい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB