新型コロナウイルスの治療薬として日本で特例承認されている、抗ウイルス薬レムデシビルについて、WHO=世界保健機関は、世界各地の臨床試験を分析した結果、「死亡率の低下などにつながる重要な効果はなかった」として、入院患者への投与は勧められないとする指針を公表しました。
WHOは20日、抗ウイルス薬レムデシビルを使った世界各地の入院患者に対する臨床試験を分析し、治療に関する指針を公表しました。
それによりますと、死亡率の低下や人工呼吸器の必要性、それに症状の改善にかかる時間について「重要な効果はなかった」としています。
このためWHOはレムデシビルについて、「症状の軽い重いにかかわらず、入院患者への投与は勧められない」としています。
レムデシビルを開発したアメリカの製薬会社ギリアド・サイエンシズは公式な反応を示していませんが、WHOが先月みずからが行った臨床試験の暫定的な結果を発表した際には、WHOのデータは厳格な検証をまだ受けていないもので、これまで別の臨床試験で示された有効性と矛盾しているなどとして、懸念を示していました。
レムデシビルについては、アメリカのFDA=食品医薬品局がことし5月、緊急での使用を許可し、これを受けて日本も特例で使用を承認していて、アメリカでは先月、新型コロナウイルスの治療薬として正式に承認されています。
-- NHK NEWS WEB