大手電機メーカー、東芝の巨額損失の原因となったアメリカの原子力事業で、電力会社との間で結ばれた契約の詳細が明らかになり、追加コストの負担を工事の効率化で乗り切れると判断し、コストが膨らんでいった実態が浮き彫りになりました。
東芝は子会社のウェスチングハウスが、2008年にアメリカで受注した、ジョージア州とサウスカロライナ州の合わせて4基の原子力発電所の建設をめぐり、7000億円を超える損失を計上することになりました。
東芝は損失が巨額となった理由を、東京電力・福島第一原発の事故の影響で安全基準が強化され、建設コストが拡大したためだと説明していますが、発注者の電力会社とウェスチングハウスの間で結ばれた当時の契約の詳細が明らかになり、この契約が損失拡大の引き金になったことがわかりました。
関係者によりますと、ジョージア州の原発では、従来から「固定価格契約」となっていて、ウェスチングハウス側が5億ドルを超えた分の追加コストを負担することになっていました。
一方、サウスカロライナ州の原発では、当初は追加コストを電力会社側が負担する内容だったものの、2015年に「固定価格契約」に変更し、ウェスチングハウス側が負担することになったということです。
また、関係者によりますと、ウェスチングハウスは2015年当時、将来のコストの拡大の懸念を認識していたものの、2016年から新たな下請け業者を採用して、工事の効率化で乗り切れると判断したこともわかりました。
しかし、東芝は先月の会見で、コストの改善は不十分だったと認め、追加のコストが60億ドルに上ることを明らかにし、甘い見通しのもとでコストが膨らんでいった実態が浮き彫りになっています。
-- NHK NEWS WEB