日銀の黒田総裁は、このところの円安傾向について「今回の為替変動はやや急じゃないかと思っている」と述べ、円安が家計や企業に及ぼす影響をきめ細かく点検していく姿勢を示しました。
5日、午前の衆議院の財務金融委員会で黒田総裁は、この1か月ほどで外国為替市場で10円程度、円安ドル高が進んだ理由を問われたのに対し、「為替変動はいろいろな要素によるもので説明するのは難しい。ただ、今回の為替変動はやや急じゃないかと思っている」と述べました。
そのうえで黒田総裁は、円安は日本経済全体にとってはプラスになるという認識を改めて示した一方、「円安が輸入物価の上昇につながると、家計の実質的な所得の減少や輸入比率が高い内需型の企業の収益悪化を招き、経済の下押し要因になる」と述べ、円安が及ぼす影響をきめ細かく点検していく姿勢を示しました。
ただ、最近の輸入物価の上昇は円安よりも資源価格の上昇による影響が大きいとし、企業や家計のコストの増加による物価上昇は景気に悪影響を与えるおそれがあるとして、今の大規模な金融緩和を続ける姿勢を強調しました。
-- NHK NEWS WEB