太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、三菱重工業の資産売却を認める韓国の裁判所の判断に対し、会社側が行った即時抗告を退ける決定の書類が会社側に届いたとする「公示送達」の効力が12日発生し、資産の売却に向けた手続きがさらに進んだ形です。
韓国の最高裁判所は2018年、三菱重工業に対して「女子勤労てい身隊」として戦時中に過酷な労働を強いられたと訴えた韓国人女性らへの賠償を命じる判決を言い渡しました。
その後、原告側の申し立てを受けて、三菱重工業が韓国国内に持つ特許権と商標権が差し押さえられ、中部・テジョン(大田)の地方裁判所は去年9月、資産の売却を認める決定を出しました。
会社側はこれを不服として即時抗告しましたが、ことし2月までに退けられ、裁判所はホームページに決定の書類を掲載することで会社側に届いたとみなす「公示送達」の手続きをとりました。
このうち特許権に関しては12日「公示送達」の効力が発生して会社側に書類が届いたとみなされ、今月22日には商標権に関しても「公示送達」の効力が発生します。
会社側はいずれに対しても再抗告ができますが、売却に向けた司法手続きは、さらに進んだ形です。
「徴用」の問題について日本政府は、1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みで、日本企業に賠償を命じた判決と関連する司法手続きは国際法違反だとして韓国政府に違反状態の是正を求めています。
-- NHK NEWS WEB