円相場が13日、およそ20年ぶりに1ドル=126円台まで値下がりしました。原材料価格が高騰する中、企業収益や家計の圧迫につながる懸念から、経済界からは「円安は行き過ぎだ」との声も出ていて、市場では政府・日銀の対応が注目されています。
外国為替市場では13日、円売りドル買いの動きが強まり、円相場は1ドル=126円台まで値下がりし、2002年5月以来19年11か月ぶりの円安水準となりました。
この1か月半で10円以上の値下がりとなる急速な円安が進んだ背景には、アメリカと日本の金融政策の方向性の違いがあります。
アメリカはインフレの抑制のため金融引き締めを急ぎ、利上げの加速が見込まれる一方、日本ではコロナ禍から回復途上にある景気を下支えする必要があるとして、日銀が強力な金融緩和を粘り強く続ける姿勢を示し、金利上昇を抑え込んでいます。
こうした違いから日米の金利差の拡大が見込まれるため、円を売ってより高い利回りが見込めるドルを買う動きにつながっています。
円安は輸出企業の収益を押し上げるメリットがあるものの、高騰しているエネルギーなど原材料の輸入コストをさらに引き上げ、企業収益や家計を圧迫するデメリットがあります。
経済同友会の櫻田代表幹事が12日の会見で「今の円安の水準は行き過ぎだ」と述べるなど、経済界からも円安のデメリットを懸念する声が出ています。
こうした中、鈴木財務大臣は13日、「為替の安定は大切だ。特に急激な変化は大変に問題だと思っている。政府としてもしっかりと緊張感を持って、為替の動向について注視していきたい」と述べました。
今のまま金融緩和が継続されれば、さらに円安が進むとの見方もあるだけに、市場では政府・日銀がどのように対応するのか注目されています。
-- NHK NEWS WEB