政府が目指す2050年までの脱炭素社会の実現に向けた、経団連の新たな提言の案が判明しました。目標を実現するための投資額は、全体で400兆円程度に上るとしたうえで、巨額の民間投資を促すため、年平均でおよそ2兆円の政府の財政支出が必要だと指摘しています。
政府は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、企業も対応を迫られていますが、研究開発や設備投資にかかる巨額の費用の負担の在り方が課題となっています。
こうした中、経団連が新たに取りまとめる提言案では、目標実現のための脱炭素関連の投資額が2050年までに400兆円程度に上ると試算しています。
そのうえで、こうした民間投資を促すため、年平均でおよそ2兆円の政府による中長期的な財政支出が必要だと指摘しています。
財源は、ヨーロッパの国などで導入されている、使いみちを環境対策に絞った国債の発行などで賄うべきだとしています。
また、提言案では、厳しいエネルギー事情の中で環境対策との両立を図る必要があるとして、原発の継続的な活用や火力発電の燃料に水素やアンモニアを使うことなどで脱炭素化を進めるべきだとしています。
一方で、二酸化炭素の排出量に応じ企業などに課税する炭素税については、「産業の国際競争力を損なうおそれが高く、受け入れは困難だ」と強調しています。
経団連は、こうした内容を盛り込んだ提言を近く公表し政府に働きかける方針です。
-- NHK NEWS WEB