長時間労働が深刻な課題となる中、教員900人余りへの調査で6人に1人にあたる17%が勤務時間を「過少申告」するよう書き換えを求められていたことがわかりました。調査した研究者は、働き方改革の前提となる実態が正確に把握できていないおそれがあると指摘しています。
調査は、教員の勤務実態を把握しようと、名古屋大学大学院の内田良教授が国の研究費を活用して去年11月にオンラインで行ったもので、全国の公立小中学校の20代から50代の教員、924人から回答を得ました。
この中で、勤務時間の申告について「正確に申告しない」もしくは「申告を求められていない」という回答が、平日は合わせて19%、土日は合わせて44%に上りました。
さらに、この2年間に書類上の勤務時間を少なく書き換えるよう求められたことがあるか聞いたところ、17%が「ある」と答え、6人に1人が勤務の過少申告を求められていたことがわかりました。
国は働き方改革の一環で、2年前に月の残業時間の上限を45時間とする指針を示し、勤務時間をタイムカードなどで客観的に把握するよう求めています。
公立の小中学校や高校などの教員の給与は、半世紀前に制定された法律で、当時の月の残業時間の平均、およそ8時間をもとに月給の4%相当が支給される一方で、残業時間が増えても残業代は出ないことから、SNSなどでは“定額働かせ放題”と窮状を訴える声も出ています。
調査した内田教授は「公立学校の教員は残業代が出ない仕組みの中で、仕事量が減らないまま早く帰るよう求められた結果、見かけ上の残業を減らすという本末転倒な事態が起きている。国は働いた対価を支払う法改正を進めるとともに、教育現場に人が全く足りていない事実を受け止め、あらゆる対策を進めなければならない」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB