円相場が20年ぶりに1ドル=130円台まで値下がりするなど円安が急速に進んでいます。
日銀の黒田総裁は、金融政策を決める会合のあとの記者会見で、急速に進む円安について日本経済全体としてはプラスだという評価を変えたわけではないとしつつ「過度な変動はマイナスに作用することも考慮する必要がある」などと述べ、円安が経済・物価に与える影響を十分注意していく考えを示しました。
日銀は28日まで開いた金融政策を決める会合で、今の大規模な金融緩和策を継続し、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる措置を原則として毎日実施することを決めました。
日銀が長期金利の上昇を容認しない姿勢を示したことを受けて、円相場は一時1ドル=130円台まで値下がりし、20年ぶりの円安水準を更新しました。
記者会見の中で黒田総裁は急速に進む円安について「全体として円安がプラスだという評価を変えたわけではないが、過度な変動は先行きの不確実性を高め、企業の事業計画の策定を難しくするなどマイナスに作用することも考慮する必要がある」と述べ、円安が経済や物価に与える影響に十分注意していく考えを示しました。
また、長期金利の変動幅を上限の0.25%程度に抑える措置を原則として、毎日実施することを決めたことについて「金融資本市場の一部では、日本銀行の政策スタンスを推し量る動きが見られていたがそうした臆測を払しょくして、従来からのスタンスを明確にすることが市場の不安定性を減らすことにつながると考えている。より円安を促すものだとは思っていない」と述べました。
日銀は、今年度の物価見通しをプラス1.9%に引き上げ、目標の2%に近づくことになりましたが、黒田総裁は「企業収益や賃金・雇用が増加する好循環の中で、2%の目標を安定的に実現するまでにはなお時間を要する。したがって景気を下支えするために今の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適当だ」と述べました。
-- NHK NEWS WEB