日銀は景気を下支えするため大規模な金融緩和策を維持し、長期金利の上昇を強力に抑え込む方針を明確にしました。しかしこれをきっかけに円安が一段と進み、家計や企業収益を圧迫する懸念も出る中、日銀の金融政策運営は難しいかじ取りが続くことになります。
日銀は28日まで開いた金融政策決定会合で大規模な金融緩和策を維持するとともに、強力な措置で長期金利の上昇を抑え込む方針をより明確にしました。
これをきっかけに外国為替市場では金融引き締めを急ぐアメリカとの政策の違いから日米の金利差の拡大を見込んだ円売りドル買いの動きが強まり円相場は一時、1ドル=131円台に急落しました。
円安は輸出企業の業績には追い風となりますが、輸入するエネルギーや食料品などの価格を押し上げます。
日銀は今年度の物価の見通しをプラス1.9%に引き上げて消費税率引き上げの時を除き30年ぶりの高い水準になると見込むものの、目標とする2%を安定して達成するには至らないとしています。
景気を下支えするため日銀は粘り強く金融緩和を続ける方針ですが、さらに円安が進めば家計や企業収益を圧迫する懸念も出ています。
一方で金融引き締めに転じれば住宅ローンや企業向け貸し出しなどの金利上昇につながり景気が冷え込むおそれがあるほか、国債の利払いが増加して国の財政にも影響が出かねません。
このため日銀の金融政策運営は難しいかじ取りが続くことになります。
-- NHK NEWS WEB