大手商社の三井物産は、ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、ロシアで手がけているLNG=液化天然ガスの2つの開発プロジェクトの資産価値を見直し、800億円余り減額させたことを明らかにしました。
これは、三井物産が2日に発表したことし3月までの1年間のグループ全体の決算の中で明らかにしたものです。
それによりますと、会社ではウクライナ情勢を受けてロシア極東で手がけている「サハリン2」と、来年中の生産開始を目指している北極圏での「アークティックLNG2」の2つのLNGの開発プロジェクトについて、資産価値の見直しを行いました。
そして、ロシアでのビジネスのリスクが高まっていることを踏まえ、2つのプロジェクトの資産価値を合わせて806億円減額させたということです。
さらに「アークティックLNG2」については、融資に対する保証の引き当てが増えたことなどから、昨年度の決算で209億円の損失を計上したことも明らかにしました。
一方、昨年度1年間のグループ全体の最終的な利益は、資源価格の高騰などが利益を大きく押し上げて前の年度の2.7倍の9147億円となり、過去最高を更新しました。
三井物産の堀健一社長は、2日のオンライン会見で「ロシアでのLNG事業は、エネルギーの安定供給という重大な役割を意識しながら関係者と連携して対応したい」と述べ、今後もロシアでのLNGの開発プロジェクトからは撤退せず、事業を継続していく考えを示しました。
-- NHK NEWS WEB