北海道の知床半島沖で起きた観光船の沈没事故で、乗船していた60代の両親と33歳の弟の3人を亡くした、兵庫県に住む30代の男性が取材に応じ「父も母もすごく優しい人でした。弟はすごく真面目で寡黙でした。今はショックで何も考えられない」と話しました。
先月23日に北海道の知床半島の沖合で乗客・乗員26人を乗せた観光船が沈没した事故で、これまでに乗客14人が死亡し、12人が行方不明となっています。
この事故で、兵庫県小野市に住む父親の竹川好信さん(66)と母親の竹川生子さん(62)、それに東京 北区に住む弟の竹川有哉さん(33)を亡くした、兵庫県の30代の男性が2日、心境を語りました。
男性は、3人が借りていたレンタカーの中で見つかったという好信さんの上着を着て取材に応じ「父も母もすごく優しい人でした。ユーモアがあっておもしろい人で、2人で漫才みたいに笑い合っているのはよく覚えています。弟はすごく真面目で寡黙で、コツコツやるような子でした」と振り返りました。
男性は、先月26日から今月1日まで斜里町に滞在し、家族向けに開かれた説明会に参加したということで「社長が説明する内容があやふやなことがあった。そもそも物事をあまり知らないという感じで、納得できませんでした」と話しました。
また、3人の最期を少しでも知りたいと近くの海岸を見て回ったということで「氷水に近いような感じで、私が想像していたような温度ではなかった。本当に悲しくてしかたない気持ちになった。今も、ショックで何も考えられない」と述べました。
そして、海上保安庁が観光船の運航会社の事務所を家宅捜索したことについては、「捜査で明らかになったことを、今後、こういったことを起こさないようにするために役立ててほしい。そして、一刻も早く全員が発見されることを願っています」と話しました。
-- NHK NEWS WEB