次世代のエネルギーとして期待される「水素」を、太陽光や風力発電の電気を使って製造する実証実験を三重県などの中小企業が今月下旬から始めます。国や自治体、大手企業によらない取り組みは珍しく、事業化につながるか注目されます。
実証実験を行うのは三重県の建設関連の会社と神奈川県の水素関連メーカーで、二酸化炭素を出す化石燃料を使わずに「水素」を製造しようと、実験場を津市の郊外に1億円で整備しました。
1000平方メートルある敷地に太陽光パネル2枚と独自に開発した小型の風力発電機3機を設置し、これらの設備で生み出した再生可能エネルギーを使って水を電気分解する装置を稼働させ、水素を取り出します。
取り出した水素は、持ち運び可能な専用のボンベで保存し燃料電池などに活用できるということで、現在主流の抽出方法とは異なり、製造の過程で二酸化炭素を排出しない仕組みです。
実証実験は今月下旬から始め、太陽光と風力による発電量や水素の発生量といった基礎的なデータを蓄積しながら、事業化を目指すとしています。
水素は脱炭素社会に向けて期待される次世代エネルギーの1つですが、経済産業省などによりますと、国や自治体、大手企業によらずに実証実験に挑むケースは全国でも珍しいということです。
実験を行う企業の赤石忠良代表は「水を使って水素を生み出すクリーンな方法を追求し、中小企業からも普及を促していきたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB