中国の李克強首相は15日に記者会見し、「中国とアメリカの間で貿易戦争が起きれば、先に傷つくのはアメリカ企業だ」と述べ、中国との貿易不均衡の是正を主張しているアメリカのトランプ政権をけん制しました。
李克強首相は15日、全人代=全国人民代表大会の閉会後に恒例の記者会見を行いました。
この中で、米中関係で中国が譲れない一線について問われたのに対し、李首相は、アメリカが「1つの中国」の政策を堅持することが政治的基礎だと強調し、「この基礎があれば、両国の協力の前途は広く開ける」と述べました。
そして、習近平国家主席とトランプ大統領による米中首脳会談の開催に向けて、両国の政府が調整中であることを明らかにし、雇用や為替レート、それに安全保障など、両国の立場が違う問題について意思の疎通を図りたいという考えを示しました。
そのうえで、「去年1年間だけでも、両国間の貿易や投資でアメリカに100万人近い雇用を生み出した」などと、具体的な数字を挙げながら、「中国とアメリカの間で貿易戦争が起きれば、先に傷つくのはアメリカ企業だ」と述べ、中国との貿易不均衡の是正を主張しているトランプ政権をけん制しました。
一方、朝鮮半島情勢について、李首相は「近頃、緊張が生じており、衝突につながりうる」という認識を示したうえで、「各国がともに努力して緊張を緩和させ、対話の軌道に戻ってほしい。自分の家の玄関先で騒ぎが続くのは誰も望まない」と述べ、核・ミサイル開発を進める北朝鮮とともに、大規模な合同軍事演習を行っているアメリカや韓国にも自制を求めました。
-- NHK NEWS WEB