ソフトバンクグループの昨年度1年間の決算は、最終的な損益が前の年度の4兆9000億円余りの黒字から一転して、1兆7000億円を超える赤字となりました。
物価上昇やウクライナ情勢で株価の不安定な値動きが続く中、保有する株式の評価損を計上したためで、赤字幅は過去最大です。
ソフトバンクグループが12日発表した昨年度1年間の決算によりますと、最終的な損益は前の年度の4兆9879億円の黒字から一転して、1兆7080億円の赤字になりました。
最終赤字は2期ぶりで赤字幅は過去最大になります。
大手証券会社によりますと、最終赤字の額としては国内の企業として2番目の大きさだということです。
ソフトバンクグループは、傘下のファンドを通じて海外のスタートアップ企業に投資しています。
ただ、急激なインフレに伴う金利の上昇でアメリカのハイテク株が大きく下落する中、保有する株式の評価損を3兆4000億円余り計上したことなどが影響しました。
特に韓国のネット通販「クーパン」の評価損は1兆6453億円、配車サービスを提供する中国の「滴滴」は9114億円にのぼりました。
孫正義社長は会見で「ロシアによる軍事侵攻でわれわれのファンドも影響を受けた。新たな投資に対してはより厳選して行っていく。今は守りを固めるべきだと認識している」と述べ、投資を慎重に行っていく姿勢を示しました。
一方で孫社長は「新たな資金を投下しなくても、持ち駒の中で攻め口を見つけたい」と述べ、世界的な半導体需要の高まりを受けて、子会社でイギリスの半導体開発会社「Arm」を成長させ、利益を拡大させる考えを強調しました。
-- NHK NEWS WEB