共謀罪の構成要件を厳しくして、テロ等準備罪を新設する法案について、憲法学者らのグループが都内で会見し、政府の説明が不十分なうえ、これまでの刑事法の基本原則を揺るがしかねないなどとして反対する声明を発表しました。
会見を開いたのは、憲法学や政治学など、さまざまな分野の学者でつくる「立憲デモクラシーの会」です。
テロ等準備罪は、かつて廃案になった共謀罪の構成要件を厳しくして、組織的犯罪集団が重大な犯罪を計画し、メンバーの誰かが犯罪を実行するための準備行為を行った場合などに処罰するもので、政府は今国会に法案を提出する予定です。
これについて15日の会見では、グループの共同代表で、法政大学の山口二郎教授が「共謀罪法案の成立が必要だとする政府の説明は極めて不十分で、納得がいかない。犯罪の実行前に処罰するなど、刑事法の基本原則を揺るがしかねないものであり、立法の合理性、必要性は厳密に立証されるべきだ」として、反対する声明を発表しました。
このあと、憲法や刑法、政治学を専門にする学者たちが「労働組合や会社など一般の団体であっても、活動内容が一変すれば、容易に組織的犯罪集団と受け取られる可能性がある。判断するのは捜査機関で、恣意的(しいてき)な捜査が行われるおそれがある危険な法案だ」とか、「実行前の共謀を調べようとすれば、常に団体の監視が必要になり、国民の権利や自由が大きく制限される」などと述べました。
-- NHK NEWS WEB