「司法取引」が初めて適用されたタイの発電所建設事業をめぐる事件で、現地の公務員に賄賂を渡した罪に問われ無罪を主張していた大手発電機器メーカーの元取締役について、最高裁判所はほかの元幹部2人との共謀が成立すると判断し、執行猶予のついた懲役1年6か月の有罪判決が確定することになりました。
大手発電機器メーカー「三菱日立パワーシステムズ」、現在の「三菱パワー」の元取締役、内田聡被告(67)は、7年前にタイで受注した火力発電所の建設事業に関連して、ほかの2人の元幹部とともに現地の公務員に3900万円余りの賄賂を渡したとして、外国の公務員への賄賂を禁じた不正競争防止法違反の罪に問われ、無罪を主張しました。
争点はすでに有罪が確定している元幹部2人と共謀したかどうかで、1審は「共謀があった」と認めた一方、2審は「2人の犯行を黙認したほう助にとどまる」と判断していました。
20日の判決で最高裁判所第2小法廷の菅野博之裁判長は「1審は、元取締役の地位と立場を前提に、元幹部2人から賄賂について相談を受け『しかたないな』と発言したことなど、言動や経過を総合的に考え、共謀を認めた。2審は1審判決に不合理な点があることを十分に示したとはいえない」と指摘し、懲役1年6か月、執行猶予3年とした1審の有罪判決が確定することになりました。
この事件では4年前に導入された「司法取引」が初めて適用され、検察の捜査に協力した見返りに法人としての会社は起訴が見送られました。
-- NHK NEWS WEB