ロシア国防省は、ウクライナ東部のマリウポリで、ウクライナ側の部隊が拠点としていた製鉄所から司令官を含む2400人余りが投降したと発表し、マリウポリ全域の掌握を宣言しました。
一方、北欧のフィンランドとスウェーデンがNATO=北大西洋条約機構に加盟を申請したことへの対抗措置として、ロシア西部の軍の部隊を増強するとし、欧米との間の緊張が高まっています。
ウクライナ東部2州の完全掌握を目指すロシアの国防省は20日、2州のうちドネツク州にある要衝マリウポリで、ウクライナ側の部隊が拠点としていたアゾフスターリ製鉄所から、司令官を含む2439人が武器を捨てて投降したと主張し「ロシア軍の完全な支配下に置かれた」と発表しました。
そのうえで、ショイグ国防相がプーチン大統領に製鉄所の制圧とマリウポリ全域の掌握を報告したとしています。
また、ショイグ国防相はもう1つのルハンシク州についても、省内の会議で「州の解放はまもなく達成される」と述べ、戦闘が大詰めを迎えているという認識を示しました。
これに対し、ウクライナ国防省の報道官は20日「ウクライナ軍は防衛作戦を展開し、敵に人員と装備の面で大きな損害を与えている」と述べ、前日に東部2州でロシア軍の攻撃を合わせて14回撃退し、戦車8台を破壊するなど、侵攻を食い止めているとしました。
一方、今月18日に北欧のフィンランドとスウェーデンがともにNATOへの加盟を申請しましたが、これについてロシアのショイグ国防相は「両国が加盟を申請したことで、ロシア西部軍管区の担当地域で緊張が高まり続けている。このような状況を受けて部隊の構成を改善し、年内に西部軍管区に12の部隊を編成する予定だ」と述べ、NATOに対抗するためヨーロッパ諸国と国境を接するロシア西部の部隊を増強する計画を明らかにしました。
こうした中、フィンランドでは、国営ガス会社ガスムが20日、ロシアからの天然ガスの供給が21日から停止されると発表し、ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムもフィンランド側に供給停止を通告したと明らかにしました。
フィンランドでは、ロシアからの電力の供給も完全に停止していて、NATOへの加盟申請に対する報復の可能性があると見られています。
ロシアは、ウクライナへの軍事支援を加速させる欧米側を強く批判してきましたが、ここに来て欧米との間の緊張が高まっています。
-- NHK NEWS WEB