ロシア軍はウクライナ東部のマリウポリの掌握後、東部2州の掌握に向けて攻勢を強める狙いですが、欧米の軍事支援を受けるウクライナ軍は反撃を続けています。一方、ロシアはNATO=北大西洋条約機構の加盟を巡って対立するフィンランドに対し、天然ガスの供給を停止し、ロシアによる報復措置ではないかとみられています。
ロシア国防省は21日、ウクライナ各地をミサイルで攻撃し、北西部ジトーミル州では巡航ミサイル「カリブル」でウクライナ軍の兵器などを破壊したと発表しました。
破壊した兵器についてロシア側は、欧米側から供与され東部2州のウクライナ軍に移送されようとしていたと、主張しています。
また南部オデーサの港もミサイルで攻撃したと発表し、ウクライナ軍の装甲車用の燃料施設を破壊したとしています。
ロシア国防省は20日には、東部の要衝マリウポリ全域を掌握したと発表していて、▼今後は東部2州の完全掌握に向けてマリウポリから部隊を進軍させるとともに、▼近く掌握する見通しと主張する東部ルハンシク州で攻勢を強める狙いとみられます。
これに対して、ウクライナ軍は欧米の軍事支援を受けて反撃していて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、20日、「ロシア軍はウクライナ側の大規模な反撃と紛争の長期化にも備えているようだ」とも分析しています。
一方、ロシアと欧米との対立が続く中、フィンランドの国営ガス会社は21日、ロシアからの天然ガスの供給が停止されたことを明らかにし、ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムも停止したことを認めました。
フィンランドでは今月14日からロシアからの電力の供給も停止していて、フィンランドがNATOへの加盟を申請したことに強く反発するロシアによる報復措置ではないかとみられています。
また、ロシア外務省は21日、アメリカの制裁に対する報復措置として、ロシアへの入国禁止の措置をとったアメリカ市民のリストを公表しました。
リストにはことし3月に入国禁止の措置をすでに発表しているアメリカのバイデン大統領やブリンケン国務長官など政府の要人のほか、民間企業のトップなども含まれていて、あわせて963人に上っています。
ロシアは20日には、NATOに対抗するためとして、年内にヨーロッパ諸国と国境を接するロシア西部で軍の部隊を増強する計画も明らかにしていて、ウクライナ情勢を巡る欧米側との対立が一段と深まっています。
-- NHK NEWS WEB