海上保安庁によりますと、北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故で、23日、水深およそ120メートルの海底から、船体を海面の下20メートル程度の海中までつり上げる作業が完了したということです。
船は早ければ24日にも作業船の上に引き揚げられる見通しです。
先月23日、知床半島の沖合で乗客・乗員26人を乗せた観光船「KAZU 1」が沈没した事故は、乗客14人が死亡、今も12人の行方が分かっていません。
事故の発生から1か月がたった23日も、第1管区海上保安本部や自衛隊などは現場周辺の海上や陸上で行方不明者を捜していますが、時間の経過とともに捜索は難航しています。
また、今月19日にロシア側から北方領土の国後島の西岸で見つかったと連絡があった遺体について、海上保安本部は男性であることを明らかにしました。
近くで見つかった運転免許証などから甲板員の曽山聖さんの可能性もあるとみて、外務省を通じて確認を進めています。
一方、23日、沈没現場では「KAZU 1」の船体が、深さおよそ120メートルの海底から、海面の下20メートル程度の海中につり上げられました。
関係者によりますと、これまでに船の左側面の後方付近に穴が開いているのが確認されているということです。
船体は海中でつった状態のまま作業船に固定され、斜里町沖の水深の浅い海域に向かっているということです。
国土交通省は早ければ24日にも作業船の上に船を引き揚げる方針です。
今回の事故をめぐっては、運航会社の「知床遊覧船」が観光船との定点連絡を怠っていたことや、十分な連絡手段を確保していなかったことなど、ずさんな安全管理の実態が次々と明らかになり、海上保安本部は業務上過失致死の疑いで捜査しています。
今後、引き揚げられる船体の状況を詳しく確認し、事故の原因や会社側の過失の有無について調べを進めることにしています。
-- NHK NEWS WEB