23日の日米首脳会談の共同声明には、両国で次世代半導体の開発に向けて協力することなどが盛り込まれました。かつて半導体をめぐって貿易摩擦のあった両国ですが、現在はそれぞれが強みのある分野を持ち、専門家からは、協力は相互補完の関係になるとして評価する見方が出ています。
23日に行われた日米首脳会談後に発表された共同声明には、両国で次世代半導体の開発に向けて作業チームを設けることや、サプライチェーン=供給網の強化に取り組むことなどが盛り込まれました。
これについて半導体業界に詳しいイギリスの調査会社「オムディア」の南川明シニアディレクターは「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で、世界のサプライチェーンが簡単に壊れてしまうことが分かった。同盟国どうしで協力関係を高めることは、半導体の安定供給につながると思う」と述べ、声明を評価しました。
日本とアメリカの間では1980年代に激しい貿易摩擦が起き「日米半導体協定」が強化されたことで、日本はアメリカ製の半導体の輸入を求められました。
これに伴って、日本の半導体メーカーのシェアは下がり続けましたが、一方で半導体を作る「製造装置」やシリコンウエハーなどの「素材の生産」では今でも強みを持っています。
南川さんは「アメリカの半導体メーカーは世界のおよそ50%の売り上げシェアを持っているが、材料では日本が世界シェアの56%ほどを持ち圧倒的に強い。日本とアメリカで強い部分が異なるので、非常によいパートナーになると思う」と述べ、日米が協力すれば相互補完の関係となり、サプライチェーンを強くするうえで効果が期待できるという見方を示しました。
そのうえで人材育成の面でも両国の連携が進むことに期待を示しました。
-- NHK NEWS WEB