北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故で、国土交通省は運航会社に対し、出航判断の基準を順守しないなど海上運送法の違反が確認されたとして、観光船事業の許可を取り消す最も重い行政処分を行う方針を決めました。
社長が虚偽の届け出を国に行っていたことも判明し、事業を継続させれば再び重大な事故を起こすおそれがあると判断したとしています。
知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」が沈没した事故で、国土交通省は運航会社「知床遊覧船」に対して特別監査を行い、事故当日の運航体制などについて調査をしてきました。
その結果、出航判断の基準を順守していなかったことや、運航管理者などが会社を不在にするなど、安全管理体制が不十分だったこと、運航中の定点連絡が行われていなかったこと、通信設備に不備があったことなど、海上運送法に基づく安全管理規程の違反が17件、確認されたということです。
さらに運航管理者として選任されていた社長について、実務経験が全くなく国に対して虚偽の届け出を行っていたことも判明したとしています。
国土交通省は、こうした違反を踏まえ、事業を継続させれば再び重大な事故を起こすおそれがある判断し、観光船の事業の許可を取り消す方針を決めました。
事業許可の取り消しは最も重い行政処分で、国土交通省は会社側の言い分を聞く聴聞を開いたうえで処分を行うことにしています。
斉藤国土交通大臣は「特別監査の結果を踏まえ、今回のような悲惨な事故を二度と起こさないよう、徹底的な安全対策の検討を進めていく」と述べました。
-- NHK NEWS WEB