日銀の黒田総裁はオンラインの講演で、世界的なインフレへの対応をめぐって、日本では欧米とは賃金上昇などの状況が異なるとしたうえで、中央銀行がとるべき適切な金融政策も国によって異なるという認識を改めて示しました。
日銀の黒田総裁は25日夜、日銀の金融研究所が開催した国内外の経済学者らが参加する会議でオンライン形式で講演しました。
この中で黒田総裁は、各国の中央銀行が世界的なインフレに直面しているとしたうえで「日本では新型コロナからの需要の回復ペースが欧米と比べて緩やかで、賃金は上昇しているものの上昇幅は緩やかな水準にとどまっている」と指摘しました。
そのうえで「最近の資源価格の高騰は、資源輸入国にとっては家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じた実体経済の下押しの影響が大きくなる」と述べて、こうした状況の違いのもとでは、中央銀行がとるべき適切な金融政策の対応も国によって異なるという認識を改めて示しました。
また、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐっては「地政学的なリスクの高まりは、貿易や資本の流れの構造変化を通じてグローバル経済により長期的な影響をもたらす可能性がある」と述べ、不確実かつ流動的な状況を踏まえた政策対応が求められていると強調しました。
-- NHK NEWS WEB