ことしの春闘では、働き方改革も焦点になっていますが、大手タイヤメーカーの住友ゴム工業の労使交渉では、基本給は変えず、所定労働時間を短くすることで、実質的な賃上げを行うほか、1時間単位で有給休暇が取得できる新たな制度の導入を目指して、協議が行われています。
神戸市に本社がある従業員およそ6600人の住友ゴムでは、去年まで3年連続で賃金を一律に引き上げるベースアップを実施してきました。
ことしは、労働組合側がベースアップを要求する代わりに、働き方の改善につなげるための要求書を提出し、労使交渉を続けています。
要求では、基本給は変えずに、これまで1日8時間だった所定労働時間を15分削減し、年間で69時間減らすことで、実質的な賃上げにつなげます。
また有給休暇については、休暇を取りやすくし、労働時間の削減にもつなげるため、1時間単位で取れる制度を来月から導入することを目指しています。
厚生労働省によりますと、1時間単位の有給休暇は、平成22年から導入できるようになりましたが、細かい勤務管理などが必要になることから、実施している企業は16.8%にとどまっているということです。
男性社員は「1時間単位の有給休暇は、病院に行くために早く帰るなど、フレキシブルな使い方ができるのでよいと思う」と話しています。
女性社員は「所定労働時間の15分削減は短いという声もあるが、積み重ねていけば自己啓発の時間にも使えると思います」と話していました。
小松俊彦執行役員は「労働時間の削減は形を変えた賃上げと同じなので、実質はベアだという認識で労使で話し合いをしている。効率よく働き、浮いた時間を自分の能力向上に使うなど、働き方を見直すきっかけにしていきたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB