岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」の実現に向け、政府はことしの「骨太の方針」に、個人投資家向けの優遇税制「NISA」の抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する仕組みの創設など、「資産所得倍増プラン」の推進を盛り込む方針です。
政府は、岸田総理大臣の就任後初めてとなることしの経済財政運営の指針いわゆる「骨太の方針」を来月上旬にも決定することにしています。
原案では、「新しい資本主義」を実現するため「人への投資」を重点分野に掲げ、具体的には一層の賃上げに向けて、賃上げ税制の活用促進や賃上げを行った企業を優先して政府調達を行うとしています。
また、「貯蓄から投資」へのシフトを大胆かつ抜本的に進めて、「資産所得倍増プラン」を推進するとして、個人投資家向けの優遇税制「NISA」の抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する仕組みの創設など、政策を総動員するとしています。
さらに給付型の奨学金や授業料の減免などの制度について、中間所得層で子どもの多い世帯や理系の学生に対象を拡大するほか、結婚や子育てなどを考慮して柔軟に返還できる「出世払い」の仕組みを創設するとしています。
また経済安全保障の強化に向け、内閣府に「経済安全保障推進室」を設置し、省庁間の事務調整を行う枠組みを整備するほか、社会保障をめぐっては行政と関係業界が一丸となって、医療分野のデジタル化を進めるため、総理大臣を本部長とする推進本部を設置するとしています。
このほか、原案には「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、デジタル関連の技術を身につけた人材を2026年度までに230万人育成することや、子どもを性犯罪から守るため性犯罪歴のある人が保育や教育の仕事に就くのを制限する「日本版DBS」を導入すること、それに北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故を受け、小型船舶を使用する旅客輸送の総合的な安全対策と海上保安庁の救助・救急体制を強化することなども盛り込まれています。
-- NHK NEWS WEB