北海道・知床半島沖で沈没し、27日海底から引き揚げられた観光船について、海上保安庁は28日、網走港で改めて船内を捜索しましたが、新たな手がかりは見つかりませんでした。一方、運航会社の社長を立ち会わせて船内の現場検証も行われ、今後、事故原因の究明に向け捜査を進めることにしています。
知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」が沈没し乗客14人が死亡、12人が行方不明になっている事故では、沈没現場から1度つり上げられた船体が運ばれる途中で海底に落下しましたが、27日、サルベージ会社の作業船に引き揚げられ、およそ45キロ離れた網走港に運ばれました。船体は今後、陸揚げされる予定で、現在は停泊中の作業船に載せられ周囲にはブルーシートが張られています。
28日昼すぎには海上保安庁の特殊救難隊員が船内に入り、これまで水中カメラや潜水士では確認できなかった機関室や倉庫に取り残された人がいないか改めて捜索を行いました。第1管区海上保安本部によりますと、捜索の結果、新たな手がかりは見つからなかったということです。
船内ではこのあと、海上保安本部が運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長を立ち会わせたうえで現場検証を行い、5時間近くにわたって計器類や船体の損傷状況などを確認しました。
海上保安本部は、陸揚げ後も船体を詳しく調査することにしているほか、悪天候が予想されるなか出航を決めた桂田社長から今後も任意で事情を聴くなど業務上過失致死の疑いで調べ、事故原因の究明に向けて捜査を進めることにしています。
-- NHK NEWS WEB