東京の医療ベンチャー企業による新型コロナウイルスの治療薬の開発事業をめぐり、公開前の内部情報をもとに株を買い付けるインサイダー取引を行った罪に問われている、建設会社の社長の初公判が開かれ、社長は起訴された内容を認め、検察は懲役1年6か月を求刑しました。
横浜市の建設会社「内田建設」と、その社長の久保田俊明被告(53)は、おととし、東京 新宿区の医療ベンチャー企業「テラ」など2社が新型コロナウイルスの治療薬の開発事業に乗り出し、メキシコで臨床試験を行うという公表前の内部情報をもとに、およそ1700万円分の株を買い付けるインサイダー取引を行ったとして、金融商品取引法違反の罪に問われています。
東京地方裁判所で開かれた初公判で、久保田社長は起訴された内容を認め「ばかなことをしたと反省している」と述べました。
検察は「『テラ』の業務に関わっていた知人から、開発中の治療薬によって新型コロナの症状が改善したとする臨床試験の内部情報などを伝えられ、確実に株価が上がると考えた」と主張しました。
そのうえで「900万円近い利益を得ており、証券市場の公正性と健全性に対する信頼を損ねた」として、社長に懲役1年6か月と罰金100万円、法人としての会社に罰金100万円を求刑しました。
この事件では、ほかに5人がインサイダー取引の罪などで起訴されていますが、裁判はまだ始まっていません。
-- NHK NEWS WEB