中国の上海では、新型コロナウイルスの感染対策で2か月余り続いてきた厳しい外出制限が1日、事実上解除されました。
外出制限の長期化で経済に深刻な影響が出る中、当局は社会の正常化を急ぐ姿勢をアピールしています。
中国最大の経済都市 上海では、新型コロナウイルスの感染が拡大し、ことし3月28日から4月5日までの予定で市内全域を2つの地域に分けて、段階的に厳しい外出制限が始まりました。
しかし、その後も感染拡大は収まらず、外出制限も延長されました。
当局のこうした対応に住民は激しく反発し、SNS上では「病院で適切に治療を受けられない」といった声が相次いだほか、食料などの生活必需品が届かないなどとして、視察中だった上海市トップの李強 書記が住民から批判されたとする動画も出回りました。
また当局は、一定期間感染が確認されなかった地区で制限を緩和するとしたものの、感染対策を理由に実際には各地で自宅の敷地外に出られない状況が続いていました。
1日の感染者数はピーク時の4月には一時、2万人を超えていましたが、厳しい外出制限を2か月余り続けた結果、30日はおよそ30人となり減少傾向が続いてます。
こうした中、当局は1日、現地時間の午前0時、日本時間の午前1時から、最近感染者が確認された一部の地区を除いて、全体のおよそ9割にあたる2200万人余りの住民の外出を認め、制限は事実上解除されました。
今回の外出制限をきっかけに、日系企業の多くが長期間、操業停止に追い込まれたほか、港や空港などを使った物流にも混乱が広がり、日本への部品の供給が滞る事態となっています。
当局は外出制限が長期化し、経済に深刻な影響が出る中、企業の生産や商業施設の営業を全面的に再開させるほか、公共交通機関の運行も再開させ、社会の正常化を急ぐ姿勢をアピールしています。
-- NHK NEWS WEB