去年7月に静岡県熱海市で起きた土石流の起点にあった盛り土の造成場所に大量の土砂が残されている問題で、熱海市は5月31日、盛り土が造成された当時の土地の所有者側に、土砂の崩落を防ぐための安全対策を講じるよう措置命令を出しました。
去年7月に熱海市で起きた土石流の崩落の起点にあった盛り土をめぐっては、造成場所に今も県の推計で2万1000立方メートル分の土砂が残っているとみられています。
県の調査で、この一部が安定性がないと評価されたことを受けて、熱海市はことし3月末、盛り土が造成された当時の土地の所有者である、神奈川県の不動産会社の元代表に行政指導を行いました。
しかし、元所有者は行政指導に応じず、5月20日まで設けた弁明の機会の期限も過ぎたことなどから、市は5月31日、県の土採取等規制条例に基づいて、元所有者側に土砂の崩落を防ぐための安全対策を講じるよう措置命令を出しました。
市によりますと、命令では6月末までに安全対策工事の計画書を提出するよう求めたということです。
盛り土をめぐっては、熱海市が11年前にも「措置命令」を出すことを検討していましたが、元所有者側がのり面を整える工事などに一時的に着手したことから、発出を見送った経緯があり、命令が出されるのは初めてです。
措置命令について元所有者は「文書が届いていないので内容は把握できていないが、10年以上前に今の所有者に土地を売っていて、命令を受けるべき立場も今の所有者に移っている。命令は受け入れられず、市に裁判を起こすことを検討したい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB