おととし大手商社・伊藤忠商事がファミリーマートに対して行ったTOB=株式公開買い付けに関連して、JA全農の元役員が公表前の内部情報をもとにインサイダー取引を行ったとして証券取引等監視委員会は160万円余りの課徴金を命じるよう金融庁に勧告しました。
勧告の対象になったのは、JA全農=全国農業協同組合連合会の元役員で、経営管理委員を務めていた奈良県内に住む70代の男性です。
証券取引等監視委員会によりますと、元役員は現職だったおととし、伊藤忠商事が実施した大手コンビニ、ファミリーマートに対するTOB=株式公開買い付けの計画が公表される前に、ファミリーマートの株をおよそ350万円分買い付け、公表後に売却することで120万円余りの利益を得たということです。
このTOBで伊藤忠商事は、食品の分野での連携を深めるため、取得した株式のおよそ5%をJA全農などに譲渡する計画で、元役員は公表前にこの計画を把握する立場にあったということです。
監視委員会は金融商品取引法で禁じられたインサイダー取引にあたるとして元役員に160万円余りの課徴金を命じるよう金融庁に勧告しました。
監視委員会は認否を明らかにしていません。
JA全農は「関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしましたこと心よりおわび申し上げます。役職員へのコンプライアンス意識の再徹底と再発防止に取り組んで参ります」というコメントを出しました。
-- NHK NEWS WEB