日本相撲協会の顧問を務めていた男性が国技館の改修工事などをめぐって、取り引きの見返りとして、業者から個人的に金銭を受け取るなどの背任行為を行って相撲協会に損害を与えたとして、相撲協会が元顧問らに賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は、元顧問らに9800万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。
日本相撲協会は、平成24年に元顧問が代表取締役を務めた会社と、危機管理に関する助言などの業務委託契約を結びました。
しかし、元顧問が、その立場を利用して国技館の改修工事などをめぐって、取り引きの見返りとして、業者から個人的に金銭を受け取るなどの背任行為を行って損害を与えたとして、相撲協会が元顧問と代表取締役を務めた会社におよそ5億2000万円の賠償を求めていました。
これに対して元顧問は、業者を選ぶ権限はなく、不当に介入したことはないなどと主張していました。
8日の判決で、東京地方裁判所の中俣千珠裁判長は「元顧問は相撲協会が締結する契約関係について一定の影響力を行使できる立場にあった。国技館の改修工事で取り引き業者から、あっせん手数料などの名目で、契約締結や取り引きの見返りとして金銭を個人的に受領した。この行為は、相撲協会の公正な業者選定と適正かつ有利な価格設定の実現を阻むものだ」などと指摘しました。
また、パチンコメーカーと力士の名称などの利用許諾に関する交渉に際して、仲介業者から現金を受け取った様子を隠し撮りされた動画がインターネットに投稿されたことについて「相撲協会の社会的評価は著しく低下し、信用が毀損された」と指摘しました。
そして、相撲協会に損害を与えた額などとして、元顧問らに合わせて9800万円余りの支払いを命じました。
-- NHK NEWS WEB