ことしの科学技術・イノベーション白書が14日に閣議決定され、日本の研究力の低下を改めて指摘したうえで、科学技術立国の実現に向けて、人材育成や科学技術への投資を推進していくことなどが掲げられました。
ことしの科学技術・イノベーション白書では、政府が成長戦略の柱として掲げる「科学技術立国の実現」に向けた現状と課題を記しています。
この中では、論文の質を示す指標が20年前は日本は世界で4位でしたが、2018年にインドに抜かれ10位にまで後退し、研究力の低下を指摘しています。
そして、原因の一つとして、ここ20年ほどの各国の大学や企業などの研究開発費の伸びを比較すると、中国が23.4倍、韓国が4.7倍、アメリカが2.6倍などと主要国が大きく増加しているのに対し、日本は0.9倍と停滞しているなどと指摘されています。
こうした課題の解決に向けて、国内の論文数の7割以上を占める大学の研究力強化のため、10兆円規模の大学ファンドを創設するなどして大学の研究基盤の強化や若手研究者への支援などに充てていくほか、国内のトップレベルの研究者が積極的に海外の研究者と共同研究することを後押しすることなどが掲げられています。
また、科学技術が国家間の覇権争いの中核となっていく中で、人工知能や量子などの先端技術について国が強力に研究開発を進めていくことが必要だとしています。
-- NHK NEWS WEB