二酸化炭素の排出量を減らすため、石炭ではなく天然ガスを使用するという新しい技術で作った鉄鋼製品の出荷が大手メーカーで始まり、鉄鋼業界の脱炭素の動きが本格化しています。
神戸製鋼所は、これまでより二酸化炭素の排出量を20%削減する生産技術を実用化し、今月からこの技術でつくった鉄鋼製品の出荷を始めました。
鉄鋼製品をつくる高炉では、石炭から作ったコークスで鉄鉱石から鉄を取り出しますが、石炭の代わりに天然ガスを使っているのが特徴で、この鉄鋼製品は、トヨタがカーレースで実証を行っている水素エンジン車の部品に採用されたということです。
神戸製鋼所の坂本浩一執行役員は、「鉄鋼会社は大幅なCO2の削減が求められている。われわれの技術を総動員して削減に貢献したい」と話しています。
一方、日本製鉄とJFEスチールは、電気の熱で鉄くずを溶かして再利用する「電炉」の生産を拡大する方針です。
「電炉」は、高炉より二酸化炭素の排出量が少なく、日本製鉄は来年度から、JFEスチールは再来年度から自動車向けなどの高品質な鉄鋼製品も電炉で生産することを目指しています。
国内全体の二酸化炭素の排出量のおよそ13%を占め、産業界で最も多い鉄鋼業界で脱炭素に向けた取り組みが本格化しています。
-- NHK NEWS WEB