フランス政府は、収益が悪化している大手電力会社を完全に国有化し、再生可能エネルギーの普及とあわせて、新たな原発の建設を推進する方針を明らかにしました。
フランスのボルヌ首相は6日、議会の所信表明演説で、国が株式のおよそ84%を保有する電力会社「EDF」について、残りの株式を取得して完全に国有化すると述べました。
ボルヌ首相は、「再生可能エネルギーの普及とともに、新しい原発の建設と次世代の原発技術の開発に投資していく」と述べ、原発の新規建設を推進する考えを強調しました。
フランスは、電力のおよそ70%を原発でまかなう原子力大国で、マクロン大統領は、ことし2月、脱炭素とエネルギーの自立を掲げ、新たに原発6基を建設する方針を打ち出しています。
しかし、フランスの原子力事業を担うEDFは、新型の原子炉の建設が計画よりおよそ10年も遅れ、そのコストも膨らんでいます。
さらに原子炉の配管トラブルなどによって国内56基の原発のうち12基が停止、電力の供給力が低下し、収益も悪化しています。
フランス政府としては、完全国有化によって原発事業を安定させエネルギー安全保障を万全にするとともに、およそ22万人が働く原子力産業を支える狙いもあるとみられます。
-- NHK NEWS WEB