研究現場の長時間労働を少しでも減らそうと、九州大学がことし6月、実験に伴う単純作業を国内外の研究者から受注し、ロボットに任せる新たな拠点を設けることがわかりました。
文部科学省科学技術・学術政策研究所が2年前にまとめた調査では、自然科学系を中心に大学の助教の半数近く、ポスドクと呼ばれる非常勤の研究者の3割で、労働時間が週60時間以上となっていて、理系の研究現場では長時間労働が課題となっています。
こうした中、九州大学が、東京のロボットベンチャー企業、RBIとともに、国内外の研究者から単純作業を受注してロボットに任せる新たな拠点を、ことし6月に九州大学の生体防御医学研究所に設けることがわかりました。
拠点に導入されるのは、北九州市の安川電機が開発した2本の腕が自在に動き、物をつかむこともできるロボットで、プログラムを変更すれば、試薬を注入したり移動させたりといった、人が行ってきたさまざまな種類の作業を1台で代行することができます。
また、緊張や疲れで手が震えることなく、ミリ単位で24時間同じ作業を繰り返すことができるため、研究者を単純作業から解放し、研究時間の確保や家庭との両立を可能にしたいとしています。
九州大学生体防御医学研究所の中山敬一主幹教授は「研究者が先のことを考える余裕や、プライベートな時間を持つことができるようになればと期待しています」と話しています。
-- NHK NEWS WEB