医療機器メーカー「スター・ジャパン」が、全国の複数の眼科医から自社のレンズを使った手術の動画の提供を受け、現金を支払っていた問題で、会社が現金を提供した医師は合わせて75人に上り、総額は2000万円を超えることが分かりました。
業界団体の公正取引協議会は、動画は医師に現金を提供するための名目で、実際には、販売促進が目的だったと認定し、13日会社を最も重い「厳重警告」としました。
千葉県に本社がある医療機器メーカー「スター・ジャパン」をめぐっては、全国の複数の眼科医と、この会社のレンズを使った白内障手術の動画を作成する契約を結び、動画の提供を受けたうえで現金を支払っていたことが分かっています。
この問題で医療機器メーカーの業界で作る「医療機器業公正取引協議会」は13日会見を開き、調査の結果、会社が現金を提供した医師は4年前からこれまでに75人で総額は2145万円に上ることを明らかにしました。
医師から提供を受けた手術の動画は117本に上りますが、相当数が一度も利用されず、会社としての管理も行われていなかったということです。
動画の提供を受ける目的について、契約書類には学術資料などと記載されていますが、これらの契約は社内では「ビデオキャンペーン」と呼ばれ、内部資料にはレンズの売上げ確保を目的としていることが明記されているということです。
このため協議会は、手術の動画は会社が医師に現金を提供するための名目で、実際には景品表示法に基づく自主規制ルールで禁じられた販売促進が目的だったと判断し、13日会社を最も重い「厳重警告」としました。
この問題では、一部の医師が勤務先に無断で契約を結んでいたとして病院側が無許可での兼業を禁止する規定などに基づいて医師の処分を検討しているほか、手術の動画には患者の個人情報が含まれている可能性があるため、国の個人情報保護委員会も病院側の管理体制などについて調査を進めています。
-- NHK NEWS WEB