欧米を中心に感染が相次ぐサル痘について、症状が似ている天然痘のワクチンに発症予防効果などがあるとして、厚生労働省はサル痘に対して使用できるよう承認する方針を決めました。
WHO=世界保健機関によりますと、これまでに欧米などの75の国と地域で1万6000人余りのサル痘の感染者が確認され、WHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しています。
日本国内では28日、2人目のサル痘の患者が確認されています。
こうしたなか、厚生労働省は29日、専門家でつくる部会を開いて熊本県のワクチンメーカー、KMバイオロジクスの天然痘のワクチンについて、サル痘に対する予防としても使用できるよう承認する方針を決めました。
厚生労働省や国立感染症研究所によりますと、天然痘のワクチンは海外ではサル痘に対して85%の予防効果があるとされています。
ウイルスへの感染後、▽4日以内の接種で発症予防効果が、▽14日以内の接種で重症化予防効果があるとしています。
また、これまでの接種や研究のなかでは副反応としてまれにけいれんを起こすことがありますが、多くは軽症だとされていて、WHOも使用を推奨しているということです。
厚生労働省は天然痘ワクチンは国内で十分な量の備蓄を行っているということで、引き続き、感染拡大の場合に備え、治療薬や検査体制などの整備を進めることにしています。
-- NHK NEWS WEB