去年7月に静岡県熱海市で起きた土石流の起点に残されている大量の土砂について、県は、一帯で盛り土が造成された当時の土地の所有者の不動産会社に撤去を求める措置命令を出しました。
措置命令を受けたのは、神奈川県小田原市の不動産会社「新幹線ビルディング」です。
去年7月に熱海市で起きた土石流をめぐっては、崩落の起点にあった盛り土の造成場所に、県の推計で2万1000立方メートル分の土砂が残っているとみられています。
このため、熱海市は5月末に、盛り土の造成当時に土地を所有していた「新幹線ビルディング」の天野二三男元代表に残った土砂の崩落を防ぐ対策を講じるよう措置命令を出しました。
しかし元代表はこれに応じず、市から指導を引き継いだ県に対しても「命令には応じられない」としたため、県は1日、盛り土の規制を強化した条例に基づいて土砂の撤去を求める措置命令を出し、会社名も公表しました。
この条例は7月に施行され、これに基づいて措置命令が出されたのは今回が初めてです。
「新幹線ビルディング」の天野元代表は、NHKの取材に対し「弁明が聞き入れられず遺憾としかいえない。過去の盛り土行為について、新たに施行された条例をさかのぼって適用して命令を出すことは許されず、取り消しを求める訴えを起こす方向で検討している」と話しています。
-- NHK NEWS WEB