脱炭素化が世界的な課題となる中、政府は関連する投資を後押しするため、新たな国債の発行に向けて本格的な検討に乗り出します。
今後10年間で20兆円分の発行を見込んでいますが、裏付けとなる財源をどう確保するかが課題となります。
政府がことし6月にまとめた「新しい資本主義」の実行計画では、中長期的な脱炭素社会の実現を目指して脱炭素のエネルギー源を安定的に活用するためのサプライチェーン=供給網の構築や省電力に対応した製品の研究開発などに、今後10年間で官民あわせて150兆円の投資を実現するとしています。
このうち、20兆円は民間企業の投資を引き出す呼び水としての効果をねらって政府が負担し、これに必要な資金は従来の国債とは異なる「GX経済移行債」という国債を発行して賄う計画です。
詳細な仕組みや制度については今後本格的な検討に入りますが、発行にあたっては、将来、償還するための財源の裏付けを明確にする方針です。
具体的には、排出する炭素の量に応じて燃料などに課税する炭素税を導入する案や、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を通じて電気料金に上乗せする「賦課金」を活用する案なども議論される見通しです。
政府は、来年度予算案の編成過程で議論を進めたい考えですが、エネルギー価格が高騰する中、企業や家庭の新たな負担につながることへの反発も予想され、難しい調整を迫られることになりそうです。
-- NHK NEWS WEB