ウクライナにあるヨーロッパ最大級のザポリージャ原子力発電所への攻撃が相次ぐ中、ウクライナ政府の放射線監視部門の幹部は、重大な事故に発展した場合「放射性物質はウクライナだけでなくロシアやヨーロッパにも到達しうる」と述べ、気象条件などによっては汚染が広範囲に及ぶという見方を示しました。
ザポリージャ原発では今月に入って砲撃が相次ぎ、25日には外部電源が一時失われるなど、重大な事故の懸念が高まっています。
こうした中、ウクライナ気象当局で空間の放射線量の監視などを行っている部門の幹部オレグ・ボイツェホビッチ氏が29日、NHKの取材に応じました。
この中でボイツェホビッチ氏は、万が一砲撃などで重大な事故に発展した場合「放射性物質はウクライナだけでなくロシアやヨーロッパにも到達しうる」と述べ、気象条件や事故の規模によっては汚染が国内外の広範囲に及ぶという見方を示しました。
さらに、原発の敷地を含む広い範囲をロシア軍が掌握しているために、トラブルや事故があっても原発の運営企業などが十分な対応に当たれず、当局が住民の避難を円滑に行えないおそれがあると指摘しました。
そのうえでボイツェホビッチ氏は、今週中に現地入りする予定のIAEA=国際原子力機関の専門家チームについて「短期間の訪問では問題の解決はできない」と述べ原発の安全確保のため、長期にわたり現場で活動すべきだと訴えました。
-- NHK NEWS WEB