電車内で痴漢に遭い、逃走しようとした男にけがをさせられた女性が、名前を公表したうえで、性犯罪の被害者としては異例の記者会見に臨みました。女性は被害者支援に取り組む弁護士で「生身の人間が傷ついたことと、性犯罪に遭っても被害者が恥じる必要はないことを知ってほしい」と訴えました。
記者会見したのは、弁護士の青木千恵子さんで、おととし10月、JR埼京線の車内で無理やり体を触られたうえ、逃走しようとした相手に転倒させられ、足にけがをしたということです。
この事件で、43歳の会社員が強制わいせつ傷害の罪に問われ、東京地方裁判所は、1日に、裁判員裁判の判決で「混雑した電車内という逃げ場のない状況での卑劣な犯行だ。被害者が受けた羞恥心や恐怖心、屈辱感は強く、精神的苦痛は大きい」として、懲役2年6か月、執行猶予4年を言い渡しました。
青木さんは、名前と顔を公表して会見を行った理由について「生身の人間が傷ついたことを知ってもらうには、顔を出して話したほうがよいと考えた。『性犯罪に遭っても被害者が恥じる必要はない』と、日頃から被害者に伝えている自分が実践しようと思った」と説明しました。
そのうえで「当事者になって何より強く感じたのは、被害者を支えてくれる周囲の人たちの重要性だ。誰がいつ被害者になるか分からない。周りにいる人たちは『人を助けたい』という優しさを、無理のない形で行動で示してあげてほしい」と訴えました。
-- NHK NEWS WEB