ウクライナ南部の港から8月に農産物の輸出が再開して以降、これまでに輸出された穀物などが100万トンを超えたと、国連が発表しました。ただ、ウクライナの農業生産者の中からは、軍事侵攻の影響で種や肥料が買えず、来年の収穫の減少は避けられないという厳しい見方が出ています。
黒海に面するウクライナ南部の港では、ロシア軍による封鎖で、農産物の輸出が滞っていましたが、8月、ウクライナとロシアとの合意に基づいて輸出が再開し、国連は、これまでに輸出された穀物などが100万トンを超えたと8月27日に発表しました。
輸出の再開が進む一方、ウクライナでは、今後の収穫や作付けに厳しい見通しを示す生産者もいます。
スコルニヤコウ氏が経営する大手穀物会社は、ウクライナ東部に12万7000ヘクタールの農地を所有していましたが、そのうち、およそ7割は軍事侵攻後にロシア側に掌握されたり、畑に地雷を埋められたりして、小麦などの収穫ができずにいるということです。
さらに、多くの農地で「穀物と農業用機械のすべてを奪われた」と述べ、失った穀物や農業用機械などの被害総額は、およそ1億ドル、日本円にして、およそ140億円に上ると訴えました。
軍事侵攻の影響で資金繰りが厳しくなる中、スコルニヤコウ氏は「来年の作物の種をまく資金がない。肥料も買えない。来年の収穫量は劇的に減少するだろう」と述べ、今後の作付けへの影響は避けられないという厳しい見方を示しました。
-- NHK NEWS WEB