東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる贈収賄事件で、広告会社の大広がスポンサー募集の業務の一部を担う協力代理店に選ばれるよう組織委員会の元理事側に働きかけ、元理事の知人の会社に資金を提供していた疑いがあることが関係者への取材で分かりました。
東京地検特捜部は5日、大広の本社を捜索し、詳しい経緯を調べています。
知人の会社には、大会スポンサーだった出版大手のKADOKAWAから多額の資金が支払われていたことも分かり、東京地検特捜部は、複数の企業が絡んだ元理事周辺の資金の流れについて、さらに実態解明を進めるものとみられます。
新たに捜索を受けているのは広告会社・大広の大阪市の本社や東京本社です。
関係者によりますと、大広は東京オリンピック・パラリンピック組織委員会からスポンサー募集の業務を委託されていた大手広告会社・電通の販売協力代理店として、サービス系の企業のスポンサー契約を担当し、報酬を得たということです。
その後、大広は、紳士服大手のAOKIホールディングス側から賄賂を受け取った疑いで東京地検特捜部に逮捕された、組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)の知人が経営する会社に、千数百万円を送金した疑いがあるということです。
電通の協力代理店になるためには組織委員会の了承が必要だということで、特捜部は大広が、協力代理店に選ばれるよう高橋元理事側に働きかけ、資金を提供していた疑いがあるとみて捜査を進めるものとみられます。
大広は「東京地方検察庁の捜査に協力していることは事実です。事態を厳粛に受け止めるとともに、引き続き当局の捜査に全面的に協力してまいります」というコメントを発表しました。
大広から資金が提供された疑いがある元理事の知人の会社をめぐっては、ほかにも大会スポンサーだった出版大手のKADOKAWAから2019年以降、総額7000万円がコンサルタント料として支払われていたことが関係者への取材で新たに分かりました。
この知人は「KADOKAWAを元理事に紹介した」と周囲に説明しているということで、KADOKAWAは事実関係を調査し、特捜部もすでに角川歴彦会長から任意で事情を聴いているということです。
特捜部は、東京大会のスポンサー契約をめぐり複数の企業が絡んだ元理事周辺の資金の流れについてさらに実態解明を進めるものとみられます。
KADOKAWAは「東京地方検察庁による任意の捜査に協力していることは事実です。事態を厳粛に受け止め、当局の捜査に全面的に協力してまいります」などとコメントしています。
-- NHK NEWS WEB