男性として生まれ、今は女性として社会生活を送っているトランスジェンダーの会社員が、勤務先で「なぜ女装しているんだ」と言われるなどの性自認に関するハラスメント「SOGIハラ」やセクハラを受けたとして会社などに賠償を求めた裁判で、会社側が訴えを全面的に認め、賠償金を支払うことになりました。
都内のインターネットサービス会社「ピクシブ」に勤める30代のトランスジェンダーの会社員は、入社当時の上司や同僚から「なぜ女装してるんだ」などと言われる「SOGIハラ」や、興味本位で体を触られたり、わいせつな話をされたりするセクハラを継続的にされ、精神的な被害を受けたとして、元上司と会社に合わせて550万円余りの賠償を求めています。
東京地方裁判所で始まった裁判で、会社は訴えを全面的に認めて請求に応じる考えを示し、会社との間では8日で裁判が終わりました。
原告側の弁護士によりますと会社として責任を認め、謝罪する考えが表明されたほか、裁判以外の場でも再発防止策について真摯(しんし)に取り組む方針が示されたということです。
一方、元上司は争う姿勢を示していて、今後も裁判が続くことになります。
会社の対応を受けて原告側は「遅きに失したとはいえ、セクシュアルハラスメント対策やLGBTをはじめとする、多様な人々との共生に向けた取り組みについて、大きな改善が見られたと前向きに受け止めている」と声明を出しました。
-- NHK NEWS WEB