世界でおよそ450種に上り、日本の食卓に並ぶことも多い「イカ」ですが、養殖がとても難しく、技術が確立されていないのが実情です。この「イカ」の安定的な養殖に沖縄科学技術大学院大学の研究グループが成功したと発表し、今後商業化を目指すとしています。
「イカ」は、1960年代から世界各国で養殖に向けた取り組みが行われてきましたが、攻撃的で、主に生きた餌しか食べず、水質など環境の変化にも弱いことなどから、養殖が難しいとされてきました。
沖縄科学技術大学院大学の研究グループは、2017年から沖縄近海に生息するアオリイカの養殖研究を開始し、生きた餌以外も食べるようふ化直後から慣れさせたり、成長に合わせて餌の種類や水槽の大きさをこまめに変えたりするなど、ストレスを減らす工夫を重ねました。
その結果、ふ化後90日まで生き残る割合を数%程度から90%以上に引き上げることに成功したほか、10世代にわたり遺伝的な影響なく安定的に繁殖させたということです。
研究グループによりますと、日本周辺に生息するイカ類は1980年代から減り始め、漁獲量は現在、全盛期の1割ほどに落ち込み、価格も上がり続けているということです。
中島隆太客員研究員は「研究成果はほかのイカにも応用できると考えている。来年の早期に養殖の手法に関する特許を取り、将来は企業と連携するなどして商業化を目指したい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB