寄生虫が原因で失明などが引き起こされる感染症の特効薬「イベルメクチン」について、新型コロナ患者に投与しても、有効性が見られなかったとする治験の結果を名古屋市に本社がある製薬会社「興和」が発表しました。新型コロナの治療薬としての承認申請を断念するとしています。
興和は26日、東京都内で記者会見を開き、治験の結果を明らかにしました。
それによりますと、治験は去年11月から先月まで12歳以上の軽症のコロナ患者1030人を対象に行われ、一日1回、3日間、イベルメクチンを服用するグループと偽の薬を服用するグループに分けて、患者も医師もどちらが投与されているか分からない方法で比較したということです。
その結果、いずれのグループでも投与から4日前後で発熱やのどの痛みなどの症状が治まり、薬によって改善したという有効性が見いだせなかったということで、会社は新型コロナの治療薬としての承認申請を断念すると発表しました。
イベルメクチンは、ノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授の研究を元に開発された、寄生虫によって失明やリンパ管の腫れが引き起こされる病気の特効薬で、新型コロナへの効果があるか各国で研究が進められましたが、ことし3月、ブラジルなどの研究グループが入院に至るリスクを下げるなどの効果はなかったとする臨床試験の結果を発表していました。
三輪芳弘社長は「全社挙げて治験に臨んできたが、この結果では承認申請を考えることはできない。結果を受け入れたい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB